強風が吹き荒れているなか、友人と天上山に登ってきました。
その登山道で面白い植物を見つけました。
高さ15cmほど。名前はハマウツボ科のナンバンギセル。
花の形が南蛮人のタバコを吸うキセル(煙管)に似ていることから、漢字では「南蛮煙管」と書きます。
並べてみると分かりやすいですね(^^)
このナンバンギセル、実は寄生植物のひとつ。
宿主はススキ。他地域ではサトウキビやミョウガにも寄生します。
自分の根を宿主の根に侵入させ、栄養を吸収して育ちます。
光合成を行わなくていいので、葉緑素がありません。
なので、植物なのに色は緑色ではないのです。
とても不思議な植物。
最後に万葉集から歌をひとつ。
「道の辺の尾花が下の思い草 今更々に何か思はむ」
尾花はススキ、思い草がナンバンギセルのことです。
(道のほとりに茂る尾花の下で物思いにふけっているように咲く思い草。
その草のように私はもう今さら思い迷ったりなどするものか)
ススキの根に寄生してひっそりと咲くこの花の生態を的確にとらえられ、人知れずひとりひそかに思い悩む女性の姿が浮かびます。
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