突然ですが、みなさんはイチジクの花を見たことありますか?
実は前回の台風後、道路上に野生のイチジクの果実が落ちていました。
こちらのイチジク、正式名はクワ科の「イヌビワ」、島名では「カンゴ」と言います。

果実を縦に割ってみますと、ほら!イチジクです!!
味もイチジクの味と図鑑に載っています(^^)
そして、冒頭の問いの答えに繋がるのですが、
実はこの内側のひだひだ部分(食べるところ)になんとイチジクの花が咲きます。
ひとつひとつが小さな花、内側に向かって咲く、、、
ですので、外から見ると花だか果実だか分かりにくいです。
植物学的にはこの花の集まりを花嚢(かのう)と言います。
ちなみにイチジクは漢字で書くと「無花果」。
昔の方は、上手に字を充てましたよね。
そのような特殊な花なので、通常のチョウやミツバチ、アリなどでは花粉を運ぶことができません。では、どうするかと言うと「イチジクコバチ」という小さなハチの仲間が受粉を手伝います。

ハチの入り口は花嚢の先端部。
更におもしろいことに一種のイチジクに対して、一種のイチジクコバチしか潜り込むことができません。
イヌビワだったらイヌビワコバチ、沖縄や小笠原のガジュマル(実はイチジクの仲間)は、ガジュマルコバチというように見事に専属契約が結ばれています。
これを聞くと庭先のイチジクにコバチが入っているのでは??と心配される方、ご安心ください。一般的に庭先にあるイチジクは品種改良済みなので、イチジクコバチを必要としません。
更に更に、、、
潜り込んだコバチは中で産卵し、産まれたオスは儚いことに交尾後に死んでしまいます。
そう、外の世界を知らずに、、、イチジクコバチに生まれなくてよかった(^^;
一方メスは交尾後、花嚢の外に飛び出す際に花粉を身体につけ、新たな花嚢に潜り込んで受粉させるのです。
イチジクはイチジクコバチがいなければ、
イチジクコバチもイチジクがなければ、生きていけません。
このような持ちつ持たれつの関係のことを生態学では「共生」と言います。
以上、本日は植物と昆虫のマニアックなお話でした(^^)
Comments